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完熟の森

第40章 卒業

「千晶、お別れだね」


理音が話しかけてきた。


可愛かった理音は前よりずっと大人びて見えた。


「そうだな、理音も元気で頑張れよ」


「千晶もね」


「ああ」


僕が校門に向かおうと歩き出したら、理音はデカい声で「千晶~」と僕の名前を呼んだ。


立ち止まり振り返ると、

両手いっぱいで手を振って満遍の笑みで「バイバーイ!!」と言った。


僕も片手で手を振って、笑顔で別れた。


校門を潜る時、甘酸っぱい幼い恋の記憶がちょっと蘇り、センチメンタルな気分になった。


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