ファースト・ラブ
第2章 第1章
「……うん。気持ちはわかる。たとえ相手に振り向いてもらえなくても…どんなにくるしくてもなかなかふっきれねーんだよなぁ。」
クールな直があんまり優しく笑ってそう言った。
直がこんな風に笑うのはすごく珍しいことだった。
「直、あたしの気持ちわかってくれるんだ??」
あたしは自分のつらい気持ちを直がわかってくれてることで
自分のつらさが少し楽になった気がして、少し嬉しかった。
「……オレも、」
「え…??」
直がその場に立ち止まったねであたしも止まった。直は下げていた顔を上げて、真剣なまなざしであたしを見て言った。
「オレも今、そういう恋してるから…。」
あたしは、いつの間にか直の顔をじっと見ていた。何だか、直の顔から目をそらせなかった。そらしてはいけない気がしたのだ。
「…そうなんだ…。じゃあ直もあたしと同じなんだね。でも直ってモテるのに、そんな苦しい恋してるのんだ。もったいないね。」
直は、すごくモテる。学年関係なく直のことが好きな女のコは多い。整ったカッコイイ顔、
陸上で関東大会で入賞するほどの運動神経、
クールで優しい性格、
とくれば女のコがほっとくわけがない。