ガーディスト~君ヲ守ル~
第7章 闇の声
一方その頃、祐司は新車のパンフレットを眺めていた。
「何かお探しですか?」
営業マンが話しかけてきた。
「もうすぐ車検なので、新車に替えようかと思いまして…」
怪しまれないように、適当に話を作る。
「そうですか!良かったらお話聞かせてください」
営業マンの顔はパアッと明るくなり、祐司をテーブルに案内する。
「何か飲みますか?」
「コーヒーを」
営業マンはお待ちください、とスタッフルームに入って行った。
(車か……本気で買うのもいいかもな)
祐司は何気なく、近くにいた家族連れに目を向けた。
「お父さん、僕これがいい!」
小学生くらいの男の子が、乗用車の運転席に座ってはしゃいでいる。
「お前が運転するにはまだ早いぞ」
「え~欲しい!!」
和やかな風景だ。
だが、一瞬脳裏に父親の姿が浮ぶ。
目の前で倒れている父親…
ナイフ… 血…
不気味に笑う男…
思い出さないようにしてきたのに…
(……あいつが現れたからか?)
「お待たせしました」
営業マンが、カチャッとコーヒーをテーブルに置いた。
「ありがとうございます」
祐司は微笑する。
「飲みながらでいいので、こちらに記入お願いします」
書類を渡されて、祐司は空白を埋めていく。
「村上さんですね、僕は鈴木と申します、よろしくお願いします」
そう言って、名刺を渡された。