ガーディスト~君ヲ守ル~
第8章 過去
祐司はクマのぬいぐるみを抱きかかえたまま、母親のもとに歩み寄った。
「あら、祐ちゃん、どうしたの?」
祐司の母親が、台所で料理を作りながら穏やかに言った。
「クマ…友達になった」
「そう、良かったわね」
母親はクスッと笑った。
祐司は嬉しそうにクマのぬいぐるみを抱きしめ、ソファに座った。
ピンポーン
玄関の呼び鈴が鳴ると、母親はバタバタと玄関に走って行った。
その後すぐに、ゾロゾロと沢山の人が入ってきた。
「あ、祐司くん、こんにちは~」
スーツ姿の男性が、祐司に話しかけた。
祐司は恥ずかしくてそっぽを向いてしまう。
「あはは、かわいいなぁ」
「おい、武本、3歳児を怖がらせんなよ」
「お邪魔しま~す、京子さん、今日もお綺麗ですね~」
「京子、すまんな。一杯やった後、急にうちに寄りたいと言いだして…」
入ってきたのは、父親の会社の同僚だった。
「祐司、ちょっとあっちに行ってなさい」
父親は祐司に冷たく言い放つ。
祐司はクマのぬいぐるみを抱きしめたまま、隣の部屋へと移動した。