ガーディスト~君ヲ守ル~
第8章 過去
母親が祐司のもとに歩み寄った。
「祐ちゃん。お母さん、お買い物行ってくるからおとなしくしてるのよ」
祐司はコクンと頷く。
「じゃあ、あなた。ちょっとビール買ってくるから」
「すまんな」
母親が出て行った後、再び宴会は始まった。
ギャハハと陽気な声が家中に響く。
祐司は隣の部屋で、その様子を眺めていた。
『ねぇ…ユウジくん。ボク、大変なことに気付いちゃった』
クマのぬいぐるみが再び話し始める。
祐司はクマの顔を見つめ、首を傾げた。
『あのおじちゃん見て…』
クマの手が指す方に、目を向けた。
さっき祐司に話しかけた武本という男の周りに、黒いものがまとわりついている。
『あの黒いの見えるでしょ?あれは、悪霊なんだよ』
「あくりょ…?」
『うん、だからあの人、死んじゃうよ』
祐司はいまいち、クマが言っている意味がわからなかった。
『悪霊に取り憑かれてるから、死んじゃうって教えてあげないと…。ユウジくん、言える?』
「う、うん…」
祐司はクマのぬいぐるみを抱きしめながら、父親のもとに歩み寄った。