ガーディスト~君ヲ守ル~
第8章 過去
父親が完全に帰って来なくなった頃、家に一通の手紙が届いた。
京子が封を開けると、それは離婚届だった。
無表情でそれを見つめる京子。
祐司は、その姿を唇を噛みしめながら見つめていた。
ある日学校から帰った後、玄関の呼び鈴を鳴らす音が響いた。
「母さん…?」
ドアを開けると、そこに立っていたのは、派手な服を着た若い女だった。
女はニヤッと笑い、祐司を上から下まで舐めるように見つめた。
「…なんですか」
祐司は、女を睨んだ。
「フフ、お母さんはいる?」
「…いません」
「じゃあ、ちょっと入ってもいい?」
そう言って女は強引に家の中に入る。
「ちょっと…なんなんだ、あんた」
「あたし?あたしは、村上英司の女よ」
村上英司…父親の名前だ。
薄々そうではないかと思っていたが、やはり父親は不倫をしていたのだ。
「帰ってください」
祐司は鋭い目つきで女を睨む。
「その目…英司さんにそっくり…ゾクゾクするわ」
"父親と同じ"、その言葉に嫌悪感を覚え、祐司はカッとなり壁を強く叩いた。
「出て行ってください!!」
だが女はひるむことなく、更に祐司に近づく。