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ガーディスト~君ヲ守ル~

第9章 希望と絶望

清掃会社の事務所の前に着くと、青色の作業服を着た女性たちが、廊下で道具の準備をしていた。


「え~と……あ!あの子です!」


尾形が指を差したのは、若い女性だった。
祐司は尾形にお礼を言うと、その女性に近づいていった。


「すみません、お話があるんですが…」


「え?」


突然の祐司の登場に、周りの女性たちはきゃあきゃあと騒ぎ出した。


「いきなりイケメンが来た!」
「超かっこいい!」



「うるさ…なに、あんた。あたしに何か用?」


女性は不機嫌に祐司を見た。


「すみません、つばきという女性を知ってますか?」


祐司の言葉に、女性は反応する。


「あたしの友達だけど…」


「そうですか……僕は村上と申します。健康食品会社のカリーヌさんの所に仕事の営業で来てるんですが、数ヶ月前につばきさんと知り合いまして」


「ふぅん」


「最近姿を見ないので、どうしたのかと思いまして…。ちょうど、あなたとつばきさんが一緒にいるのをよく見かけましたので、あなたに聞けばわかるかと思い、声をかけました」


「そういうことね…でもただの知り合いにつばきのこと教えると思う?」


なかなか手強い女性だ。



「そうですよね、でも僕…恥ずかしながら、つばきさんにお金を借りてたんですよ。だからお礼もかねて挨拶に伺いたいんです」


そう言いながら、祐司は苦笑した。


「情けなぁ~…でもそういうことなら仕方ないか。借りたものはちゃんと返さないとね!」


「すみません…」



「ちょっと美夏(みか)、どうすんの?」


その時、準備を終えた清掃仲間が声を
かけてきた。


「ごめん、先やってて」


美夏は祐司に向き合った。


「つばきは、ここにはいないよ。1ヶ月前、事故に合ったの」


「病院はわかりますか?」


「S大学病院だよ、北館の 301号室にいる」


S大学病院…


祐司のこめかみがピクッと反応した。


まさか、母親と同じ病院にいるなんて…



「でも事故に合ってからずっと目を覚ましてない…だからお金は家族の人に渡して」



「ありがとうございます」



「つばきは困ってるやつがいたらほっとけない、優しい子なんだよ。だから、あんま迷惑かけないでよ」


そう言うと、美夏は仕事場に戻って行った。





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