ガーディスト~君ヲ守ル~
第9章 希望と絶望
時刻は12時。
つぐみは富士子に作ってもらったお弁当を持って、祐司たちと食堂に来ていた。
さあ食べよう…とした時、
「ここいいかしら?」
と、冴子が祐司の隣に座ってきた。
「あら、美味しそうなお弁当…って、みんな同じなのね」
「今お世話になってる方の手作り弁当なんです」
祐司がそう言うと、冴子がお弁当をあまりにも、じぃ~と見つめるので「食べますか?」と声をかけてみた。
「いいの?じゃあ~冴子ねぇ…
た・ま・ご・や・き」
「…いいですよ」
冴子の猫なで声に、若干引いている祐司。卵焼きを冴子の定食の皿に置こうとすると、
「あん、食べさせて♪」
と、口を開ける冴子。
祐司は渋々、冴子の口に卵焼きを運んであげた。
「ん、おいし~」
冴子は満面の笑顔を向けた。
そのやりとりを見ていたつぐみは、静かに怒りをこみ上げる。
(し、信じられない…村上さんにそんなことさせるなんて!!)
だけど…
そんなことできちゃうなんて、羨ましい…。
私には普通に話すだけでも、いっぱいいっぱいだし…。
でもやだな…
薄井社長、村上さんのこと本気なのかな?
だとしたら…かなわないよ…
「東さん、大丈夫ですか?」
「…え?」
ボーッとしてると、祐司が心配して声をかけてくれる。
「全然手をつけてませんが、大丈夫ですか?」
「あっ…はい!大丈夫ですっ…」
つぐみは恥ずかしくなって、祐司から目をそらした。
こんな時も心配してくれるなんて…
つぐみが再び祐司の方に目を向けると、隣の冴子と目が合った。
なぜか睨まれる。
(こわい…)