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ガーディスト~君ヲ守ル~

第9章 希望と絶望

「…でも…そんなこと…私には無理です…」


つぐみは再び俯いた。


「伝える手段は、言葉だけじゃないですよ」


そう言って、圭吾はつぐみの顎を持ち上げた。


「!」


突然のことに驚くつぐみ。


圭吾の顔がすぐ近くにあって、恥ずかしくて目をキョロキョロさせた。
俯きたくても、顎を持ち上げられてるため、俯けない。


つぐみは目を瞑った。


「目を開けてください」


圭吾に言われ、恐る恐る開けてみる。


目の前には、まっすぐに自分を見つめる圭吾の瞳があった。


それは何かの意志があり、吸い込まれる力があった。


「言葉だけじゃない、目で気持ちを伝えることもできるんです」


「……」


言われてみて、気付く…。


そういえば村上さんはいつも真剣な目で、私を見守ってくれた。


だから私はそんな村上さんに、惹かれていったんだ…。



「…ありがとう…ございます…」


つぐみは照れながら微笑した。


「じゃあ…このままキスする?」


「えっ!?」


「冗談ですよ」


圭吾はクスッと笑った。


(…冗談に聞こえない…)



でも、朝比奈さんって…周りをよく見てる人なんだな…


自分の気持ちに気づいてくれて、素直に嬉しいよ…



「さあ、戻りましょうか」


「はい」



朝比奈さん、ありがとう…。








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