ガーディスト~君ヲ守ル~
第10章 覚醒
その頃、護はトイレで用を足していた。
「あ~くそ、あの女社長…俺を完全無視しやがって…」
そう独り言を呟くと、突然個室の扉が開いた。
「おい、おっさん!!」
背後から女性の声がして、護は体をビクつかせた。
「なっ…なんで女がいんだよ!!」
護は慌ててブツをしまった。
「ひとりでごちゃごちゃ、うっせーんだよ!てか、掃除中の札立てといたのになんで入ってくんの!?」
青い作業服を着た女性、美夏は一気にまくしたてた。
「掃除中…ああ、そりゃ邪魔して悪かったな」
護は少々不機嫌ながらも謝った。
「…ふん、次からは気をつけてよね」
そう言って、美夏は再び掃除を始めた。
手を洗いながら、護は鏡越しに美夏を見た。
(まだ若そうだな…しかもよく見ると可愛い…)
何気なく、視線に気付く美夏。
「…なに見てんだよ」
美夏は護を睨んだ。
「…いや、可愛いなと思って」
「はっ!?」
突然の言葉に、美夏の顔が赤くなった。
護は二ヤッと笑った。
「俺は、白石護。君は?」
「えっ…篠田美夏…」
動揺して、美夏はつい名前を言ってしまった。
「美夏ちゃんか♪なんかあったら俺に電話して」
そう言って護は、美夏に名刺を渡した。
美夏はおもわず受け取ってしまう。
「じゃ」
護はトイレを後にした。
「なんなの…あいつ…」
美夏は名刺を見た。
「…ボディーガード…?」