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ガーディスト~君ヲ守ル~

第10章 覚醒

「捕まえれるなら、捕まえ…」


そう言いながらつばきは、後ろを振り向いた。


瞬間ガッと腕を掴まれ、体が引き寄せられる。


「!」


すぐ目の前には、笑みを浮かべる祐司。


「残念でした」


祐司は微笑しながら、つばきの手から煙草を取り上げた。
ぶうっと頬を膨らませるつばき。


「……」


祐司は、つばきを無言で見つめた。
その視線に気づいて、つばきもまた祐司を見上げる。


身長差はあるものの、2人の距離は近い。
祐司はつばきの頬にそっと手を添えた。



トクン…
胸が高鳴る。



つばきもまた、自分の顔が熱くなっていくのがわかった。





愛しい…






祐司は心の中で呟いた。
つばきを抱きしめたい衝動にかられる。
だがすぐに自分の立場を思い出す。





俺はボディーガードだ
依頼人を、命に代えてでも守らなければいけない
常に死と隣り合わせで、愛しい人を不安にさせてしまうだろう…



悲しませたくない…
傷つけたくない…



それなら俺は、
愛しい人の幸せを願いたい…








祐司は切なく微笑した後、スッとつばきから離れた。


「……」


え?とつばきは祐司を見た。


うぬぼれかもしれないけど、いい雰囲気だったのに…と、つばきは少し残念に思った。


祐司がテラスの椅子に腰を下ろしたので、つばきも隣に座る。


長い沈黙が訪れた。






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