ガーディスト~君ヲ守ル~
第1章 出会い
護先輩が喫煙室に向かったあと、事務所の扉が勢いよく開いた。
「乙姫はおるか!」
紺のスーツを着た小太りの男が、息をきらせながら現れた。
「乙姫社長なら出かけてますが…失礼ですがどなたですか?」
圭吾先輩が応対する。
「ワシはS会社を経営しとる根本や!乙姫を呼んでくれ!」
男はそう言いながら、震えた手で名刺を圭吾先輩に渡した。
「祐司くん…お客様にお茶出してくれる?」
「…はい」
「興奮状態だから落ち着かせてね」
俺は、根本社長を別室へ案内する。
根本社長の顔からは大量の汗が滲んでいた。
「大丈夫ですか?社長が来るまで休んでてください」
そう言って部屋を出ようとすると、
「待ってくれ!一人にしないでくれ!アイツがっ…アイツがっ…」
(アイツ…?)
根本社長はガタガタと震えだした。
その時、別室のドアがノックと共に開いた。
同時に根本社長の体がビクッとする。
「護先輩…」
「ここは俺がいるから、お茶出せよ」
「はい」
俺は別室を出て、給湯室に向かう。
圭吾先輩は携帯で社長と連絡を取っていた。