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ガーディスト~君ヲ守ル~

第3章 恋の予感


祐司は地下鉄を利用し、区内の公園に来ていた。
辺りはすでに薄暗くなっていた。



祐司は上着のポケットから、黒い箱に金字で書かれたタバコを取り出す。



シュボッ



タバコを口にくわえ火をつけた。
手元だけ一瞬明るくなる。



「ふぅ…」



祐司は紫煙をのぼらせる。
仕事が終わった後の一服は格別うまい。
そっと瞼を伏せると、生暖かい風が祐司の頬をなでた。



(…さて、と…)



祐司はタバコを靴裏で消し、吸い殻を懐にしまった。



公園の入り口に向かって歩き出す。
その先に、ひとつの人影があった。



「…無事だったみたいだな」

「ゆーじ!」



そこに立っていたのは、つぐみの姿をした『つばき』だった。



「あたし、めちゃくちゃ痛かったんだからね!」

「よく耐えたな」

「もうマジで除霊されるとこだった!怖かったんだからぁ…」



『つばき』が泣きそうな顔で祐司の袖を引っ張ると、祐司は『つばき』の頭をポンポンと軽く叩いた。



「ゆーじ…」



『つばき』の頬が、ほんのり赤くなる。
が、薄暗くて祐司にはわからない。



「でもあたしって…やっぱりつぐみさんに嫌われてるんだよね…」

「…」

「幽霊だもんね…恐いよね…」

「…」

「ねえ、ゆーじはいつから幽霊が見えるの?」



祐司は少し黙った後、口を開いた。



「物心ついた時からかな…周りからは変わった子供だと言われていた」

「…」





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