ガーディスト~君ヲ守ル~
第4章 バイト
「あれから根本は、恐喝容疑で逮捕されました」
年配の男性は、静かに口を開いた。
(根本社長のことか…!)
「娘の傷はまだ癒えませんが…
あの時、私が生霊のまま根本を殺さなくて良かったと思います」
「そんなことをしても娘さんは喜びませんからね…」
「止めていただいて、本当にありがとうございました」
夫婦は深く頭を下げた。
「娘さんを大事にしてあげてください」
乙姫は優しく微笑した。
何度もありがとうと言う夫婦を、玄関で見送った。
「祐司くん」
「はい」
「生霊というのはね、たいてい無意識でやってるんだ。それを繰り返すうちに、体に戻れなくなることもあるんだよ」
「…」
「それに加えて怨みの念があると、悪霊化することもある」
「では悪霊化するまえに、社長が止めたんですね」
「本人に直接ね」
乙姫は微笑した。
「君は『つばき』ちゃんを助けられるかな?」
「!」
「頑張ってね」
乙姫は、祐司の肩をポンと叩いた。
(…ということは、『つばき』は生霊ということか…)
それを見抜いた社長って…
侮れないな、と祐司は思った。