ガーディスト~君ヲ守ル~
第4章 バイト
祐司たちは、二手に別れてフロアを軽く見回った。
「女子ロッカー室も確認したいんですがいいですか?」
「いいわよ」
「失礼します」
祐司は扉をノックしてから、静かにドアを開けた。中に入ると、微かに香水の匂いが漂った。
ふと見ると、一番奥のロッカーだけ扉が開いている。
「誰かいますか?」
声をかけると、「ひゃ!」と驚く女性の声がした。
ロッカーから顔を出したのは、髪をひとつに束ね、メガネをかけた痩せ型の女性だった。
「あ…あなた、なんなの?何で男がここにいるのよ!」
「驚かせてしまってすみません、訳あってこちらを確認させてもらってます」
「確認?」
「私は警備してる者です。薄井社長に頼まれまして…」
「そ、そう」
女性はロッカーをバンッと閉めると、祐司を警戒しながら出て行った。
隅々まで確認し終えた後、祐司は部屋を出ようとする。
「あ…」
ちょうどロッカー室に入ってきた女性と目が合った。
「東さん?!」
女性は、つぐみだった。
「村上さん…!」
つぐみは気まずい顔をする。
「ここで働いてるんですね」
「…はい、今日からなんですけど…」
「そうですか…就職先決まったんですね」
祐司は微笑した。
「あ、いえっ…ここはバイトで入ったんです。ちょっと生活費が足りなくて…」
「そうですか…」
「…」
沈黙が訪れた。
「あの…何かあったんですか?」
先に口を開いたのはつぐみだった。
「…ああ、薄井社長から警備の依頼があったんです」
「何か…あるんですか?」
つぐみは、不安そうに祐司を見上げた。
「大丈夫ですよ、ただの警備です」
祐司は微笑した。
なるべくつぐみを怖がらせたくないと思った。
「頑張って…くださいね」
「ありがとうございます。東さんも頑張ってください」
祐司は軽く頭を下げた後、扉を閉めた。