
ガーディスト~君ヲ守ル~
第5章 姿をうつすもの
扉を開けて中に進むと、数十人の女性スタッフが緊迫した雰囲気の中で仕事をしていた。
パソコンのカタカタという音だけが、辺りに響いている。
「すご…」
『つばき』は立ちすくんだ。
(てゆうか…あたしはどこに座れば?!)
ウロウロしてると、背後から声をかけられる。
「もう大丈夫なんですか?」
振り向くと、祐司だった。
「ゆーじ!!」
「……つばき?」
祐司は小声で話す。
「目覚めたんだな」
「うん。だけどこれはどういう状況?…てゆか私はどうすればいいの?」
戸惑う『つばき』に、祐司は「俺についてこい」と誘った。
「先ほどはご案内ありがとうございました」
一番端の窓際まで来ると、祐司は佐藤に話しかける。
「いえ…あ、東さん。もう大丈夫なの?」
佐藤は、祐司の後ろにいた『つばき』に声をかけた。
「あっ…はい!もうすっかり!」
祐司は『つばき』に目配せする。
お前の席はここだ、と。
(ありがとう!! ゆーじ!!)
『つばき』は佐藤の隣に座った。
「じゃあ続きお願いね。もうすぐ定時だから頑張ってね」
「はい!! ありがとうございます!!」
「…」
佐藤はじぃっと『つばき』を見て、首を傾げた。
「な、何か?」
「…なんか感じ変わった?」
ギクッ。
「え?そんなことないですよっ…」
『つばき』の顔は引きつった。
(やばい…なんか疑われてる!?)
愛想笑いをして『つばき』はパソコンを打つ真似をした。
(やばい…全然わかんない……)
あたし、パソコンしたことないし…
祐司の方を見るも、『つばき』が何を言いたいかわかったようで、首を横に振られた。
(ゆーじもパソコンできないんだ…意外)
祐司は何をしても完璧だと思った。
だからなんだかすごく祐司が可愛く思えた。
