
ガーディスト~君ヲ守ル~
第5章 姿をうつすもの
数分後。
なんとかごまかしながら、定時を迎えることができた。
「お疲れ様、お先に~」
佐藤はさっさと帰ってしまった。
周りを見ると、皆早々に退社していく。
(あたしも帰るかぁ…)
そう思って席を立った時…
「あんた1日何やってたのよ!!!」
突然、女性の怒鳴り声が聞こえてきた。
声の方を見ると、冴子が尾形に怒鳴りつけているのが見えた。
「…」
「半分もやってないじゃない!! 会社に何しに来てるわけ?!」
尾形は俯いて、ただ黙っている。
そんな様子を見て『つばき』はなんだか尾形がかわいそうに思えた。
ズカズカと2人のもとに歩いていく。
「だいたい、あんたねぇ…」
「ちょっと、言い方ひどくないですか!?」
冴子の言葉を遮る『つばき』。
「…は?」
冴子は『つばき』に振り向いた。
「あんたは…今日から入ってきた東よね…」
「そうですが!! 何か!?」
「私が社長だって、わかってて言ってんの?」
「えっ…」
(社長だったの!!?)
「そういえば、あんた…さっき倒れてたわよね。初日で倒れるなんていい度胸してるじゃない」
冴子は腕組みしながら、『つばき』を上から見下ろした。
「遅れた分、残業していきなさいよ!!」
(げっ…)
冴子は再び尾形に向き直る。
「あんたやる気ないならとっとと辞めなさいよ。前田に聞いたけど、しょっちゅうロッカー室に籠もってるらしいわね」
ピクッと尾形の体が反応した。
それを冴子は見逃さない。
「何かやましいことでもしてるわけ?」
そう言って冴子は、ロッカー室の方に歩き始める。
「や、やめてっ…」
慌てて尾形は追いかけた。
冴子の腕を掴むが、簡単に振り払われてしまう。
冴子はロッカー室の扉を勢いよく開け、中に入って行った。
