ガーディスト~君ヲ守ル~
第5章 姿をうつすもの
少しさかのぼって、冴子が尾形に怒鳴っている頃。
その様子を遠くから、祐司と護は黙って見ていた。
「女社長こえ~よ」
護が怯えた。
「…」
祐司も苦笑する。
少し部下の扱い方がひどいと思うが、依頼人の仕事の邪魔はできない。
気の毒だと、遠くから見ていることしかできなかった。
「あ、東さん」
護の声に、祐司は視線を動かす。
『つばき』が眉間にシワを寄せながら、冴子のもとに歩いていくのが見えた。
「ちょっと、言い方ひどくないですか!?」
『つばき』の強気な姿を見て、護は目を丸くする。
「東さんって、おとなしい子だと思ってたけど、けっこう度胸あるんだな」
祐司は苦笑した。
「今は『つばき』ですよ」
「え!?」
「さっき東さん、貧血で倒れたんです。入れ替わって『つばき』が目覚めたんですよ」
「あの子が…『つばき』…」
そういえば、車の中で一瞬だけ出てきたな…
東さんとは全く話し方が違ってた。
まともに話してるのを見るのは、初めてだ。
「…残業しなさいよ!!」
「はは、逆に怒られて落ち込んでるよ」
護は苦笑した。
「…ん?」
なんだか2人の様子がおかしい…
「おい、祐司…」
「ああ」
さすがにちょっとエスカレートしてるような気がする。
2人はロッカー室に向かった。