ガーディスト~君ヲ守ル~
第5章 姿をうつすもの
フラフラと、尾形は自分のロッカーの前に立った。
鍵を開けて、ある物を取り出す。
「なにしてんのよ?!」
尾形はそれに向かって、ブツブツなにかを呟きだした。
「……やる……」
「は?!」
「…殺して…やる…」
「?!」
「殺してやる!殺してやる!殺してやる!殺してやる!殺してやる!!」
尾形が持っていたもの…
それは手鏡だった。
鏡には、鬼のような形相の尾形がうつっていた。
そこへ祐司と護が駆けつける。
部屋は異様な空気に包まれていた。
「な…に言ってんのよ……
頭おかしいんじゃない!?」
冴子は固唾を飲んだ。
何か嫌な予感がする…
だけど体が金縛りにあったように、動かない。
尾形は再び手鏡に向かって叫び始めた。
「あんたなんか…死ねばいいのよぉぉぉーーーーーー!!!!!!!」
ブワッ!!!
瞬間、鏡の中からどす黒いもやが勢いよく放出した。
「!」
それは生き物のように、うねうねと尾形の周りを取り囲み、みるみるうちに体を覆い尽くしてしまった。
危険を察知して、祐司は冴子を後ろに庇う。
「先輩!薄井社長を向こうへ!」
護は頷くと、動けない冴子を無理やり引き連れてロッカー室を出て行った。
祐司は固唾を飲んで、目の前のものを見据えた。
(これは…どういうことだ?!)
黒いもやに包まれた尾形は、ゆっくりと歩き出す。
『逃がさないわ…』
じりじりと祐司に近づいていく。