ガーディスト~君ヲ守ル~
第5章 姿をうつすもの
(悪霊に取り憑かれたのか?!)
「尾形さん!! しっかりしてください!!」
祐司は後ずさりながら、尾形に向かって叫んだ。
だが尾形には、祐司の声は届かない。
(どうすれば…そうだ!!)
祐司は乙姫にもらった塩を思い出す。
(いちかばちかっ…!)
その塩を握りしめ、祐司は尾形に向かって投げつけた。
『ぎゃあぁぁぁ!!』
塩をかけられた尾形は、頭を抱えてのたうちまわる。
『う…うぅ…』
ズルッ…と黒いもやがゆっくりと、尾形の体から離れていった。
「尾形さん!!!」
祐司は尾形に駆け寄った。
体を抱き起こして、反応を待つ。
うっすらと目を開ける尾形。
「…あれ…私…」
祐司はほっと息をついた。
「立てますか?」
「…は、はい…」
祐司は尾形を立たせると、後ろを振り返った。
黒いもやは、まだそこにいる。
「あれは…なに?」
震えた声で尾形が言った。
「あなたが持っていた鏡から出てきたものです」
祐司は尾形を後ろに庇いながら、様子を見る。
「な、なんで…そんな…」
尾形はガタガタと震えた。
黒いもやは、蛇のように床を這いずりまわっている。
……コロシテヤル…
コロシテヤル……
辺りに殺気のこもった声が響いた。