ガーディスト~君ヲ守ル~
第5章 姿をうつすもの
瞬間。
黒いもやが、何かを察知したように、ザザアッ!!とロッカー室の扉の隙間から出ていった。
「しまっ…!」
奴の狙いは、冴子だ!
祐司は急いで後を追いかける。
黒いもやは、素早い動きで床を這いずりまわった。
「いやぁ!! 追いかけてきたわよ!!」
冴子の叫び声に、護は黒いもやを目で追う。
「上へ登れ!!」
言われるままに、冴子はデスクの上に登った。
だが黒いもやは冴子に気づき、壁を伝って近づいてくる。
「護先輩!!」
祐司が叫ぶと、護は冴子の前に出た。
「うらぁぁぁぁ!!!」
護は懐から塩を取り出すと、黒いもやめがけて力強く投げつけた。
『ギャアアア…!!』
黒いもやはその場でのたうちまわり、一気に跡形もなく消滅した。
「……やったのか?」
護は呆然と立ち尽くす。
冴子はヘナヘナとその場に座り込んだ。
祐司はもやが消滅した場所に触れたが、すでにそこには何もなかった。
ふうっと安堵の息が漏れた。
「…今度は守れましたね、護先輩」
振り向きながらそう言うと、
「あ……ったりめぇだよ!!!」
護は満足そうに微笑んだ。