ガーディスト~君ヲ守ル~
第5章 姿をうつすもの
「で、なんであんたがつばきなわけ?」
冴子は『つばき』に詰め寄った。
「それは…」
「東さんに『つばき』の生霊が取り憑いてるからですよ」
『つばき』の声を遮って、祐司が真っ先に答える。
「え?!」
冴子も尾形も目を丸くした。
「東さんは、時々自分の記憶があやふやになるということで、俺たちに依頼をしてきたんです。
彼女の記憶があやふやなのは、『つばき』が生霊として東さんに取り憑いてるからでした。
でも『つばき』は自分の名前以外の記憶をなくしてるんです。
記憶が戻ればもとの体に戻れるかもしれない…だから俺たちは『つばき』の情報を探してるんです」
そう話し終えると、冴子は信じられない…と呟いた。
「…じゃあ、あなたは…
あの『つばき』ちゃんなの……?」
尾形は『つばき』に歩み寄る。
「だとしたら…私はなんてことを…!!!
あなたを事故に合わせたうえに、生霊にして苦しめてしまってたなんてっ…ごめんなさい!!!」
尾形は何度もごめんなさい、ごめんなさい、と謝りながら床に泣き崩れた。
『つばき』は尾形を黙って見下ろす。
多分…
あたしはここで働いてた…
初めてのバイトだった。
尾形さんに声をかけたのは、
彼女をほっとけなかったから…
だけど逆に傷つけてたんだね……
でも、
それがきっかけで、呪われるなんて…
正直ショックだよ…
だけど…
だからって…
尾形さんを怨んだりはしない…
あたしは…
『つばき』はそっと、尾形の背中に優しく触れた。
「尾形さん、話してくれてありがとう」
「え……」
「あたしは大丈夫。 きっと体に戻れるって信じてるから」
「つばきちゃん…」
「ゆーじっていう強力な助っ人がいますから!…だから、大丈夫」
そう言って『つばき』はニカッと笑った。