ガーディスト~君ヲ守ル~
第6章 束の間の休息
「いいなぁ~男の友情ってぇ~」
ふと気づくと『つばき』の目がトロンとしていた。
いつの間にかグラスは空だ。
「全部呑んだのか…」
祐司は額を抑える。
「えへへ~なんか~すっごくイイキモチ~♪」
(完全に酔ってるじゃねぇか…)
「ほら、もう行くぞ」
祐司は『つばき』の腕を掴んだ。
「もう行くのかよ?まだ肉あるぞ」
口をモグモグしながら喋る護。
「東さんが目覚めたら大変ですから」
「なるほど」
「じゃあねぇ~まもちゃん♪」
『つばき』がよろめきながら、護に手を振る。
(まもちゃん…?)
祐司は眉間にシワを寄せた。
「行くぞ」
足取りがおぼつかない『つばき』。
「タクシー呼ぶか」
祐司は大通りに出て手を挙げた。
「あたしはだいじょ~ぶらよ~」
タクシーはすぐ目の前で止まる。
『つばき』を先に乗せ、後から祐司も乗りこんだ。
行き先を告げるとタクシーは走り出した。
「つばき…まだ寝るなよ」
「ん、だいじょ~ぶ」
そう言って『つばき』は頭を祐司の肩に乗せる。
「は~ちょっと食べ過ぎたかなぁ」
『つばき』は、ぽっこりしたお腹を撫で回した。
祐司は見かねて、『つばき』に胃薬を渡す。
「後で飲んどけ」
「持ってたの?」
「常備してるからな」
「すごぉ~い。ドラえもんのポケットみた~い♪」
「は?」
「塩も持ってたじゃん♪」
「あれは…社長が持たせてくれたんだよ」
「へぇ~」
社長…
こうなることをわかってて俺たちに塩を持たせたのか?
用意周到過ぎるな…
「なんか~羨ましいなぁ…仲間がいて…」
『つばき』が窓の外を見ながら呟いた。
祐司は『つばき』に視線を落とす。
「お前にだって、いるだろ」
「今はいないもん」
「…俺が、いるだろ」
『つばき』は祐司をパッと見上げた。
「照れてる?」
「照れてねぇ///」
『つばき』はクスッと笑った。
「ありがと…」
ゆーじは優しい…
いつもあたしを気にかけてくれる…
でもそれは…
あたしが記憶をなくしたから?
記憶が戻って元に戻ったら、
ゆーじはあたしのこと忘れちゃうのかな…?
もう会うこともできないのかな?
それはちょっと寂しいな……