ガーディスト~君ヲ守ル~
第6章 束の間の休息
タクシーは一軒の平屋の前で止まった。
「もう着いちゃった…」
「ゆっくり休めよ、…あ、ちゃんと胃薬飲んで歯磨けよ」
「はぁ~い(お母さんみたい)」
「じゃあな」
祐司は、『つばき』に背を向けて歩き出す。
「ゆーじ…」
そんな祐司の後ろ姿を、『つばき』はいつまでも切ない表情で見つめていた。
―翌日。
つぐみは自宅で目を覚ました。
ずいぶんと長い間寝ていたような気がする…。
体を起こすと、心なしか調子がいい。
ふとテーブルの上に目をやると、一枚の紙が置かれていた。
「これは…」
『つばき』が書いた手紙だった。
“つぐみさんへ
すみません、
また体をかりてしまいました(>_<)
つぐみさんが、ひん血で倒れた時、あたしは目をさましました。
なんだかすっごくおなかがすいてたので、ゆーじたちとやき肉食べてしまいました。
ちょっと食べすぎました(>_<)
ゴメンナサイ
でも、ちゃんとごはんは食べた方がいいですよ☆
ナースのおねーさんに怒られちゃいました(;_;)
あ、そうだ。
ひとつわかったことがあります!
つぐみさんがはたらいてる会社で、あたしもはたらいてることがわかりました!
わけあって、事故にあったそうです…
あたしの体は…どこかにある…
それがわかっただけでもうれしいです!
だからあともう少しだけ、ここにいさせてください…
つばき”
「そうだったんだ…」
つぐみは手紙を折り畳む。
(私が記憶がない時は、ちゃんと報告してくれる…)
それはすごく安心できる。
だけど…
(なんだか村上さんと仲良さそう…)
胸の奥がチクッとした。
「私の姿で…
『ゆーじ』って呼ばないで…」
つぐみはクシャッと手紙を握りしめた。