ガーディスト~君ヲ守ル~
第6章 束の間の休息
化粧室から出ると、廊下で祐司が待っていた。
「心配だったのでここで待ってました」
「…」
「東さん?」
「……私は、つばきだよ…」
「………つばき?」
「うん…」
『つばき』は…いや、『つばき』を演じたつぐみは頷いた。
(村上さんが、どんなふうにつばきさんと話すのか知りたい…)
「ゆうじ、私お腹すいちゃった!行こう?」
「……ああ」
祐司は少し考えこんだ後、歩を進めた。
祐司の目の前で、料理を食べているつぐみ。
一生懸命『つばき』を演じている。
祐司は、それがつぐみだということに、なんとなく気づいていた。
だが、あえて合わせることにする。
何か思うところがあるのだろう…と。
「つばき、食べすぎるなよ」
祐司は微笑した。
「うん」
つぐみはモグモグ口を動かした。
きっと『つばき』ならこうするだろうと想像しながら…。
(でももうお腹いっぱい…)
手が止まるつぐみを見て、祐司が話題を変えた。
「花火が始まったみたいだな」
窓の外を見ると、遠くの方で花火があがっていた。
「キレイ…」
つぐみは釘付けになった。