ガーディスト~君ヲ守ル~
第6章 束の間の休息
「花火なんて久しぶりです…小さい頃…よくお父さんと見に行ったなぁ…肩車してもらって……」
何気なしに話して、つぐみはハッとした。
(私…今はつばきさんのフリしてるのに…!!)
つぐみは恐る恐る祐司の方を見た。
だけど祐司は優しく微笑んでいた。
「素敵な思い出ですね」
「…」
(やっぱり私はつばきさんになんてなれない…)
それに祐司は最初から気づいている…
つぐみはそう思った。
「私…帰ります」
つぐみは席を立って、走ってその場を去った。
「東さん!」
祐司はすぐに後を追う。
(恥ずかしい!! なんであんなことしちゃったんだろう…せっかく幸せな時間を過ごしてたのに…自分で壊すなんて…)
階段を下りていると、グッと腕を掴まれた。振り向くと祐司だった。
「村上さん…」
「1人じゃ危ないです…」
つぐみは祐司から目をそらす。
「離してください…こんな私…村上さんに見せたくない」
「…」
祐司はつぐみの腕をゆっくりと離した。
黙って階段を降り始めるつぐみ。
その時、ズルッと足を踏み外す。
「!」
とっさに祐司は、右腕でつぐみの身体を後ろから支える。
(…えっ…)
密着する身体。
一瞬、祐司の息が耳にかかった。
「大丈夫ですか?」
耳元で聞こえる祐司の声。
「だ、大丈夫です!」
恥ずかしくなって、慌ててつぐみは祐司から離れた。
祐司の顔がまともに見れない…。
「…下まで送ります」
祐司はそう言って、階段の先のエレベーターのボタンを押した。