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もしも僕がね、

第3章 遺伝

最近投与される薬の副作用が辛いせいなのか…あるいは…

目が覚めた瞬間にそんなことを考えた…



「院長先生……私は!」

早川の話し声が近くで聞こえて反射的に目を閉じた。



「そんなに急がなくても…まだ…」


「まだっていつまでですか…担当医の俺だって分かりますよ。むしろここまでよく持った方だって…時間が……ないんです」

なんとなく…俺のことを話してることは分かった。

やっぱり……時間がないのか。



「早川先生…そんなに声を大きくすると理人くんが…」

「………すいません。」


まだ寝てると思ったのだろう…話し声が小さくなったけど、俺はしっかり聞き耳を立てた。


「私もね、出来るだけ理人くんのワガママは叶えてるつもりなんだよ……いや、むしろ叶えたい。
でももし…今回外出して突然発作が出たらどうする?近くに病院がなかったら?親御さんにはなんて説得する?」


もしかして…これは早川がじーさんにアルバムのことを…

そう考えたらなんだが胸がちょっと苦しくなった。

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