トライアングル・ラブ -素直になれなくて-
第4章 涙
「ん~、別に先輩たちに名前を言うほどの者ではないです。」
コイツらに名前を言ったところで、なんの価値も得もねー。
先輩だと分かったのは、上履きの色。
こんなヤツらが先輩だと思うと虫酸が走るわ。
「そ、そう?じゃぁここで何してるの?何か聞いてた?」
ひきつった笑顔を見せてくるコイツに、俺は大きく鼻で笑った。
「あの俺、ぜーんぶ聞いてました。んで、ケータイで録音してました。」
俺は、ケータイを左ポケットから取り出し、“プラプラ”と左右に揺らし見せつけた。