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激愛~たとえ実らない恋だとしても~

第15章 第四話・其の四

 〝徳川実記〟には、第八代将軍家俊夫人、御台所について、このように記されている。

 孝徳院さまを常に陰から支えた、貞女、賢婦である。常に出すぎることなく良人に寄り添い、大奥をよく束ね、あまたの奥女中たちから慕われた。
 また、その美貌も天下に知られ、その姿はたおやかな一輪の花のごとし、と。
 孝徳院さまは生涯、側室を一人も持たず、御台所一人を守った。
 江戸の市井に生まれ、職人の娘として育ちしも関白近衛房道卿の猶子となり、尾張藩ご簾中から、御台所となる。九代実徳院さま、ご生母として尊崇を受けた。
 孝徳院さまより先立つこと六年、九代さまに将軍職を譲り、西ノ丸で大御所、大御台所として隠居生活を送る最中にご逝去。
 行年五十六、名は芳子、蓮容院と諡する。
                 (完)




☆ 江戸の町の片隅で始まり、大奥へつ続いていたみくの恋物語はいかがでしたでしょうか?
 最後まで、ありがとうございました。☆
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