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私だけを見てよ。

第9章 事実。



基臣はなかなか来なかった。

そして────、約束していた時間を過ぎた。

絢美の気持ちはどんどん沈む。



じゃりっ…


下を俯き、涙が零れそうな絢美の耳が足音を捉えた。

こちらに歩み寄ってくる基臣。

約束した時間から、30分過ぎた頃だった。

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