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異種間恋愛

第12章 獣の正体と契り

 ラドゥはその傲慢な態度が彼の本来持っている気高い気品と美しさを粉砕している。こういった傲慢な態度が人間としての魅力にはなり得るが、国王としての魅力になることはあり得ない。
「ふん、政権などはじめから興味はない。もうひとつはなんだ?」
「リアは何があっても渡さない」
「何を言う。勝負に勝った者の女になるに決まっている。それが嫌なら勝負をやめて政権も諦めろ」
 レオの心中を察するように口に皺を寄せて微笑みながらラドゥは言った。
 民を救うか私を手放すか、そんな残酷な選択をさらっと出してのけるラドゥが気持ち悪いと思った。
「勝った者がふたつとも手に入れることができる。敗者は地位も女もなく城に一生仕える。どうだ? スリルがあっていいと思わないか?」
 ラドゥの提示した内容に驚いた。
 レオは今現在、なんの地位も持っていない。それに比べ勝負に負けた時ラドゥが失うものが多すぎる。王子という地位を捨ててもいいと言っているのかと思い彼の顔を観察した。
 ……いや、ラドゥは自分が負けるなんてことを一切仮定していない。それほどの自信があるのだろう。
 その自信にぞっとした。
 レオは勝負を受けていいものなのだろうか……でも、この機を逃せば民は……。
「レオ」
 私はレオを見上げた。
「リア……」
「勝負、するわよね?」
 私は歯を見せて悪戯な笑顔を作った。
 レオが一瞬悲しそうな怯んだような表情になったが、すぐにいつもの凛々しいレオに戻った。
「分かった。受けて立とう」
「よい返事だ」

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