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異種間恋愛

第15章 暴かれた婚姻

 今日も真っ青な青空が城の窓に切り取られている。私がベッドから抜け出すと一度伸びをして窓に近づいた。
 ここからはまだ出られない。
 フローラさんはどうしているだろう。こうしている今も民が、フローラさんの大切な人が危険な目にあっているかもしれないというのに私はこんな快適な部屋で悠々と生活している。
 その事実を思うたびに私の胸は抉り取られるように痛んだ。
 それでも、今行動を起こすわけにはいかない。
 周りについている侍女も執事も私の世話をするわけではなく監視することが目的なのだ。そのためか周りの人からは生気が感じられなければ、人間としての温かさも全く感じられない。
 とは言うものの、空気を読んで身を隠したりよく気がつくことには長けている。ただ、その行動の中に本人たちの感情が見当たらないのだ。まるで全てをマニュアルとして覚えているロボットのように。
 扉がノックされる音が響く。
「リア、起きてるか?」
 レオの声だ。
 昨日のことが思い出されて一瞬ベッドに潜り込んで寝ているふりをしようかと思った。
「うん。入って」
 そう言うと扉が遠慮がちにゆっくり開いて黄金の髪の毛が覗いた。
「リア、その目はどうした」
「え?」
 レオが窓際の私に近付くと心配そうに私の顔を覗き込んだ。意味の分からない私は自分の目を手で押さえる。別に痛みもしないし、打ったりもしていない。
 レオがさっと洗面台のほうへ行くとすぐにタオルを手に戻ってきた。
「横になるんだ」
 促されるままベッドに背中を預けるとレオが私の瞼の上に濡れたタオルを置いたから自然と視界が遮られ、瞼も閉じることになった。
 あ、そうか。昨日泣いたからそれで目が腫れていたのかもしれない。
「レオ」
「なんだ」
「ううん。なんでもない」
 ありがとう。ごめんなさい。その言葉が両方口をついて出そうになったけれど、どちらを選ぶべきか分からず結局口を閉じてしまった。
「よく寝れなかったのか?」
「え。ううん。そんなことないよ」
 レオがどんな表情をしているのか私は見えないのにレオは私の顔を近くで見ているのはすごく恥ずかしい。
「リア、俺がこの姿に戻れたのは……お前のおかげだ」

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