
異種間恋愛
第2章 出会い
「克服したいのか?」
耳がぴくぴくと動くのに目を奪われながら私は激しく首を縦に振った。
「だから、ひとつお願いがあるんだけど……身体を触らせてもらえないかしら?」
今度は耳がぴんっと勢いよく立った。
「俺の……か?」
「あなた以外に誰がいるの?」
「好きにしろ」
ライオンはそう言うと岩から飛び降りて地面に伏せた。
その様子は忠実な犬のように見えて私はつい笑ってしまう。
「なにを笑っている」
不機嫌な声が飛んでくるのもお構いなしに、私はそっと背中に触れた。
柔らかそうに見えた毛は一本一本が太く意外と堅かった、しかし獣特有の油っぽさはなく心地いい手触りだ。
慣れてくると大きく背中をさすってみる。
するとライオンはくすっぐたいのか身体をわずかに震えさせた。
次にたてがみに手を伸ばすと黒っぽい部分は油ぽく触った手が黒くなってしまった。
「向こうに泉がある」
私が自分の黒くなった手のひらを見つめているのに気付いたライオンはぶっきら棒に言うと立ち上がった。
「ねえ、最後に耳だけ触らせて?」
「はあ……。ほら」
嫌々ながら頭を私のほうに向け下げてくれたので私は遠慮なく耳を撫でた。
「……可愛い」
「変な奴だな。それで克服はできたのか?」
「私はリアよ。あなたは?」
耳から手を離すと首を傾げて頭を上げたライオンを見つめる。
「ライオンに名前があると?」
ライオンは静かに言った。その声は悲しみと自虐がこもっているように思えた。
「あなたは元々ライオンではないでしょう?」
「さあな……ここ100年はこの姿だったがな」
100年も生きているのは普通のライオンではない。
怪物なのかもしれない……がこんな穏やかな怪物など聞いたことがない。
しかしライオンは自分の過去について語る様子がない。
「じゃあ名前はレオにしましょう?」
「何を勝手に……」
「昔の言葉でライオンでしょう。ラテン語だったかしら?気に入らない?」
「……」
無言のレオに微笑みかけると私は断りもなくレオの顔を撫でた。
「じゃあ決まりっ」
「お前……」
「リア、よっ」
頬を膨らませて睨みつけると呆れたのかレオは軽く頭を横にふると歩き出した。
耳がぴくぴくと動くのに目を奪われながら私は激しく首を縦に振った。
「だから、ひとつお願いがあるんだけど……身体を触らせてもらえないかしら?」
今度は耳がぴんっと勢いよく立った。
「俺の……か?」
「あなた以外に誰がいるの?」
「好きにしろ」
ライオンはそう言うと岩から飛び降りて地面に伏せた。
その様子は忠実な犬のように見えて私はつい笑ってしまう。
「なにを笑っている」
不機嫌な声が飛んでくるのもお構いなしに、私はそっと背中に触れた。
柔らかそうに見えた毛は一本一本が太く意外と堅かった、しかし獣特有の油っぽさはなく心地いい手触りだ。
慣れてくると大きく背中をさすってみる。
するとライオンはくすっぐたいのか身体をわずかに震えさせた。
次にたてがみに手を伸ばすと黒っぽい部分は油ぽく触った手が黒くなってしまった。
「向こうに泉がある」
私が自分の黒くなった手のひらを見つめているのに気付いたライオンはぶっきら棒に言うと立ち上がった。
「ねえ、最後に耳だけ触らせて?」
「はあ……。ほら」
嫌々ながら頭を私のほうに向け下げてくれたので私は遠慮なく耳を撫でた。
「……可愛い」
「変な奴だな。それで克服はできたのか?」
「私はリアよ。あなたは?」
耳から手を離すと首を傾げて頭を上げたライオンを見つめる。
「ライオンに名前があると?」
ライオンは静かに言った。その声は悲しみと自虐がこもっているように思えた。
「あなたは元々ライオンではないでしょう?」
「さあな……ここ100年はこの姿だったがな」
100年も生きているのは普通のライオンではない。
怪物なのかもしれない……がこんな穏やかな怪物など聞いたことがない。
しかしライオンは自分の過去について語る様子がない。
「じゃあ名前はレオにしましょう?」
「何を勝手に……」
「昔の言葉でライオンでしょう。ラテン語だったかしら?気に入らない?」
「……」
無言のレオに微笑みかけると私は断りもなくレオの顔を撫でた。
「じゃあ決まりっ」
「お前……」
「リア、よっ」
頬を膨らませて睨みつけると呆れたのかレオは軽く頭を横にふると歩き出した。
