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異種間恋愛

第1章 告白

「ねえ、良いこと教えてあげようか」
 ストラスが走り疲れて転んだ私にじりじりと近づきながら口角を吊り上げた。
 もうなにも聞きたくない私は首を必死で横に振るとストラスの真っすぐな灰色の髪が森の中を突き抜ける風を受けてさらさらと靡き、彼は整った顔を笑顔でいっぱいにする。
 こんなに満面の笑みなのに泣いているようにも見える……。
「ふうん……。でも、折角だから教えてあげるよ」
 ふっくらとした色気さえ感じさせる下唇が動くと透き通った優しい声色が響く。
 これ以上真実を知るのは嫌で、私は咄嗟に両手で耳をおさえ頭を抱え込むように身体を縮める。
 すると冷たい大きな手が私の手を強くひっぱり、上に乗るように押し倒すと両手首を拘束された。
「もうっ……、やめて……よ」
 涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔を隠すこともできずただ泣きじゃくり意味も分からないままストラスに許しを乞う。
 真実を真実と認めたくない。嘘をついて驚かせようとしているのだと思いたい、もう嘘はやめて……と兄のように慕っていた目の前の優しい目をした少年に訴えかける。

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