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異種間恋愛

第4章 獅子の秘密

「ち、ちがうの」
「ほら、泉で汗流して来い」
 レオが背中を向けて歩き出した。いつも私が泉に行く時は入口までついてきて、私が出てくるまで待ってくれるのだ。こんなに心配されているのもおそらく、私が鈍くさいとレオの中で認識されているからで、溺れるのではと思われているに違いない。
「うん……」
 私は先を行くレオの尻尾に目を止めた。
「あれ……なんか、どっかで」
 尻尾の先のふさふさで柔らかそうな金色の毛を見ていると夢を思い出した。
「あっ、あの人の髪にそっくり」
 でも、レオに言うとまた変な誤解をされてしまう。それだけは避けたい私は内緒にしておくことにした。
 あの青年の夢はなんだったのだろう。
 出来ることなら、もう一度見たい。異性として惹かれたわけでは決してなくただ美しいものを見ていたいと思うのは人間らしい欲求なのだ。
 と、自分に言い聞かせた。
 実はあんな美青年の夢を見た後でも私には前を歩いているレオの後ろ姿の方が魅力的に見えてしまうのだった。

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