
異種間恋愛
第5章 失われた記憶
「ストラ……」
遠くで誰かが呼ぶ声がする。
その声はすごく小さくて霞がかかったようにくぐもっているけれど、呼ばれた瞬間にこれ以上ないほどの幸せを感じた。
「リ、ア……」
そう、あの小鳥がさえずるような美しい声はリアのものだ。
僕は今どこにいるのだろう、真っ白なトンネルのような中にひとりで立っている。
トンネルの先から眩しい光が覗いている。たぶん、向こうにリアがいると感じ取った僕は躊躇なく足を踏み出した。
動き始めたら今度はリアに早く会いたいと思う気持ちに歯止めが利かなくなりどんどん足を動かす速度が上がっていく。
しかし、どんなに走ってもトンネルの先は現れない。むしろ遠ざかっているような気さえする。
背筋が震えた。この感覚……どこかで。
求めれば求めるほど遠くに行ってしまう……リア。
脚から力が抜けて、座り込む。
「リア」
「ストラ」
「っ!?」
諦めて伏せていた顔をあげるとそこには太陽のように眩しい笑顔を見せるリアがいた。
胸の上まである艶やかな黒髪が首を傾げるとさらりと上質な絹のように揺れた。
どうしたの?とでも言うように見開かれた瞳は大きく、まんまるい。漆黒の瞳は見れば見るほど目を離せなくなってしまう。睫毛が長く多く瞬きをする度にリアの可憐さが増す。
健康的な肌色に頬のところが桃色に色付き、小さめのふっくらした唇は桜のような淡い桃色でつやつやしていて、理性を制御し続けていないとつい触れてしまいそうになる。
僕は息を呑んでリアを見つめた。
日に日に美しくなっていくリアは僕の心を掻き乱し、理性と本能という白黒はっきりしたふたつの感情の存在を確立させていった。
今日の僕は理性が限界だ……。
手を伸ばし目の前にいるリアに触れようとする。触れるだけでいい……。
遠くで誰かが呼ぶ声がする。
その声はすごく小さくて霞がかかったようにくぐもっているけれど、呼ばれた瞬間にこれ以上ないほどの幸せを感じた。
「リ、ア……」
そう、あの小鳥がさえずるような美しい声はリアのものだ。
僕は今どこにいるのだろう、真っ白なトンネルのような中にひとりで立っている。
トンネルの先から眩しい光が覗いている。たぶん、向こうにリアがいると感じ取った僕は躊躇なく足を踏み出した。
動き始めたら今度はリアに早く会いたいと思う気持ちに歯止めが利かなくなりどんどん足を動かす速度が上がっていく。
しかし、どんなに走ってもトンネルの先は現れない。むしろ遠ざかっているような気さえする。
背筋が震えた。この感覚……どこかで。
求めれば求めるほど遠くに行ってしまう……リア。
脚から力が抜けて、座り込む。
「リア」
「ストラ」
「っ!?」
諦めて伏せていた顔をあげるとそこには太陽のように眩しい笑顔を見せるリアがいた。
胸の上まである艶やかな黒髪が首を傾げるとさらりと上質な絹のように揺れた。
どうしたの?とでも言うように見開かれた瞳は大きく、まんまるい。漆黒の瞳は見れば見るほど目を離せなくなってしまう。睫毛が長く多く瞬きをする度にリアの可憐さが増す。
健康的な肌色に頬のところが桃色に色付き、小さめのふっくらした唇は桜のような淡い桃色でつやつやしていて、理性を制御し続けていないとつい触れてしまいそうになる。
僕は息を呑んでリアを見つめた。
日に日に美しくなっていくリアは僕の心を掻き乱し、理性と本能という白黒はっきりしたふたつの感情の存在を確立させていった。
今日の僕は理性が限界だ……。
手を伸ばし目の前にいるリアに触れようとする。触れるだけでいい……。
