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異種間恋愛

第7章 新たな旅

「今日はここで休むぞ」

一日中歩き続けることにも慣れてきたものの、身体にはそれ相応の疲労が蓄積しているようだ。脚がぱんぱんに腫れ、靴の底と同じように足の裏の皮膚はすり減っている。
それをレオに隠すように歩くのは大変で、時折後ろの私を振り返っては「大丈夫か?」なんて聞くレオに笑顔で、
「もちろん。どこも痛まないわ」なんて返すのも精一杯だった。
 だからレオが歩くのをやめる時は本当にほっとする。
「うん。あ、あっちになにか食べれそうな実がありそうだから、採ってくるね」
 歩いている途中、魚がいそうな川があればレオが獲ったり、ジャスミンが木についている果実を採ってきたりはするものの、歩き続けているとエネルギーが消費され、それだけでは足りなくなってくる。
「待て、ジャスミンに任せろ」
 レオがジャスミンに目をやれば、可愛いジャスミンはこくりと頷き駆けていった。
「でも、ジャスミンじゃ運べない大きな果実があるかもしれないし……」
「その時は、後で俺が採りにいく。お前は食べられる物とそうでない物が分からないだろう」
「う……」
「それに……」
 確かに、私には森の果実についての知識はほとんどないに等しい。
 レオは傍にある小さな川のほうへ移動し、私にもこっちに来るようにと無言で促した。
「ほら、足出せ」
「え」
「いいから、早く」
 有無を言わせない強い口調に私は恐る恐る柔らかい革でできた靴を脱いだ。
「……あ」
「俺が、何て言ったか覚えてるか?」
「……はい」
「じゃあ、これはなんだ」
 靴を脱ぐと、足の指先が全てほんのり赤く染まっていた。そして、血とまめだらけの足をレオが冷たい目で見る。
「ごめんなさい。でも、大丈夫なの」
 私は心配をかけたくない一心で笑顔を作る。
 レオが切ない呻き声をあげた。
 私の肩が跳ねる。

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