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異種間恋愛

第7章 新たな旅

「水に浸せ」
 私は素直に従う。川の水は冷たく、火照った足を浸せば無数の小さな棘で足全体を刺されているかのように痛んだ。
「んっ」
「それが、お前の言う『大丈夫』なのか」
 血が流れ落ちると私はゆっくりと足を上げ、草の上に投げ出した。
「レオ……、あの」
 謝ろうと口を開くとレオが私の前に座り、顔を私の足に近づけた。
 傷を見られるのかと思い足をひっこめようとした時、レオの大きな舌が私の足を絡めとった。
「きゃっ」
 レオは黙ったまま、私の足の指も一本一本丁寧に愛しむように舐める。
 ゆっくりと、一度舐めた所にもまた舌が戻ってきて何度も往復する。
 恥ずかしくて堪らないけれど、動けばレオの鋭い牙が当たるかもしれない……そう考えると心臓が首元まで飛び出しそうになったのは恐怖からではなく、羞恥と快感でだ。
 私はぼうっとする頭で足元にあるレオの黄金の毛並みをじっと見つめ続けた。
 柔らかく温かいレオの舌に撫でられた部分からじんわりと痛みがなくなってゆくことに気づく。

「まっしになったか?」
「うん。すごい!レオ、ありがとう」
 レオが顔を離すと、私の足にあったまめも傷も全て綺麗さっぱりなくなっていた。
 これで、明日からはもっと速く歩ける。
「リア」
 突然、名前を呼ばれて首元がきゅうっと締めつけられる。
「頼む。もう、我慢はしないでくれ。今度少しでも痛めばすぐに言ってくれ」
「レオ……。うん、本当にごめんなさい」
 レオが真剣な表情で私を見つめるから、私は頷かざるを得ない。
「よし、約束だ」
「でも、またまめができたら治してね」
「お前な……はあ。まあ、治してやらんでもない」
「ありがと」
「ああ」
 そのうち、ジャスミンが戻ってきて私たちは早めの夕食をとり、いつものように星を眺めながらレオの隣でジャスミンを抱きながら眠った。

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