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異種間恋愛

第11章 王子と獣

「小さな村に王族が2つも? その家はなんと言う?」
「シャレット・リーゼロッテ」
 そう、私と同じミドルネーム。ストラスと私の曾祖父が一緒、グラドなのだ。つまり、再従兄。
 そして、現王子も全く一緒。ストラス、ラドゥ、私は再従兄妹なのだ。グラドで繋がっている。
「良くしてくれたのか?」
「うん。すごく」
「じゃあ、お前は何故急に森へ来た? あの者は……その家の息子なのだろう」
 レオと初めて会った時のことを思い出した。レオもあの時のことを気にかけていたのだろう。
「どうして……」
 分かったの? 言いかけて止めた。レオが先を早く知りたがっている雰囲気が伝わってきた。
「彼は私のお幼なじみで……」
「幼なじみがどうしてお前の前で自ら命を絶とうとした」
 レオに話したくないという気持ちと知っていてほしいという気持ちがせめぎ合う。
「彼は自分がいては私を傷つけるって……だから……その前にって」
「だからお前はそいつから離れるために森へ来たのか」
 私は頷いた。
 そう言われると、なんだか……悲しくなった。
 突然レオは鼻で笑った。嘲るような寂しい乾いた音だった。
「詳しいことが聞きたく……ないんだ。どうしてだろうな」
 レオらしくない言葉に切なくなる。詳しいこと……ストラスが狂うほど私を想ってくれていたことだろうか。
 とっくにレオはそんなこと察しているのだろう。でも、勘違いされていたらどうしよう……。
 私の気持ちは行き場をなくしてしまう。
「そいつとお前が想い合っていたってことは分かった」
「違うっ!!」
 森に響くほど大きな声で叫んでしまっていた。
 レオは驚いている。
「確かに……ストラのことは好きだった。あれが好きってことなんだって思ってた。でも、でも……それは本当に誰かを大好きになったことがなかったから違いが分からなかったの。大好きってこんな気持ちなんだって分かったら、ストラのことを想っていた気持ちとは違うって気づいたの。こんなに苦しくて切なくて、震え上がるほど幸せだったなんて知らなかった」
 言いながら、私は自分がまるで裸にでもなるような羞恥心が湧いてくるのを感じた。

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