
異種間恋愛
第11章 王子と獣
「森へ戻るぞ」
「え、え?」
永遠にも感じられた沈黙の後、何事もなかったようにレオは岩から飛び立った。
心臓が跳ねあがるどころではない。止まった……かと思うくらいの言葉だった。
気のせいかもしれない。自分の願望が幻聴を招いたのかも。そうとしか思えない。
恥ずかしい……。
「それで、何があって崖から飛び降りようと思ったんだ?」
森へ戻り、木陰で寝そべるいつもと変わらないレオの様子に、さっきの告白は幻だったのだと確信した。
私は促されるままラーナであったことを話した。ストラスのこと以外は全て……。レオは話を険しい顔で聞いていた。民が心も体傷付けられていること、ラドゥ王子の突然の求婚。
「ラドゥ……か。お前は王族だったんだな。そうか……」
レオはひとりで何か考えるように目を閉じた。
「名はなんと言う?」
「シャレット・アストリアン」
「リア・シャレット・アストリアン、か。お前の母方の祖母の名は?」
名前の後に母方の姓、そして最後に父方の姓を名乗るのがいまの王家の決まりだ。私の母が王族で父は普通の民だったらしい。
「祖母はオレリア。オレリアおばあさまよ」
「オレリア……か。ふん。グラドの娘か」
「そうよ……」
極悪非道な王と血の繋がりがあるなんて、レオはどう思うのだろう。
そんな私の心配をよそにレオは青い瞳で私を見つめて言った。
「俺はお前のことを何も知らないんだな。……他にも教えてくれないか?」
「えっ」
「だめか?」
寂しげな瞳でそんなこと聞かれたら、首を千切れるほど横に振るしかないだろう。
「私は王族なんだけど、実はよく分からないの。私のパパとママは私が小さい頃に亡くなったから……。でもね、そんな私を本当の子供のように見てくれた家族がいたのよ。その人たちも実は王族なんだけど、すごく良くしてくれたわ」
「え、え?」
永遠にも感じられた沈黙の後、何事もなかったようにレオは岩から飛び立った。
心臓が跳ねあがるどころではない。止まった……かと思うくらいの言葉だった。
気のせいかもしれない。自分の願望が幻聴を招いたのかも。そうとしか思えない。
恥ずかしい……。
「それで、何があって崖から飛び降りようと思ったんだ?」
森へ戻り、木陰で寝そべるいつもと変わらないレオの様子に、さっきの告白は幻だったのだと確信した。
私は促されるままラーナであったことを話した。ストラスのこと以外は全て……。レオは話を険しい顔で聞いていた。民が心も体傷付けられていること、ラドゥ王子の突然の求婚。
「ラドゥ……か。お前は王族だったんだな。そうか……」
レオはひとりで何か考えるように目を閉じた。
「名はなんと言う?」
「シャレット・アストリアン」
「リア・シャレット・アストリアン、か。お前の母方の祖母の名は?」
名前の後に母方の姓、そして最後に父方の姓を名乗るのがいまの王家の決まりだ。私の母が王族で父は普通の民だったらしい。
「祖母はオレリア。オレリアおばあさまよ」
「オレリア……か。ふん。グラドの娘か」
「そうよ……」
極悪非道な王と血の繋がりがあるなんて、レオはどう思うのだろう。
そんな私の心配をよそにレオは青い瞳で私を見つめて言った。
「俺はお前のことを何も知らないんだな。……他にも教えてくれないか?」
「えっ」
「だめか?」
寂しげな瞳でそんなこと聞かれたら、首を千切れるほど横に振るしかないだろう。
「私は王族なんだけど、実はよく分からないの。私のパパとママは私が小さい頃に亡くなったから……。でもね、そんな私を本当の子供のように見てくれた家族がいたのよ。その人たちも実は王族なんだけど、すごく良くしてくれたわ」
