契約彼氏
第6章 *好き...
「好きです。
付き合ってください。」
「夏目くん・・・、」
「僕の好きな人は美玲ちゃんだったんだよ。ずっと。」
腕の中から解放されて、しっかり向き合うと照れくさそうに笑う夏目くん。
「初めは銀行にこんなに可愛い子がいるんだって驚いたし、僕が勝手に片想いしてたんだよね。両替に行くたびに美玲ちゃんの笑顔を見るのが楽しみだったから。」
「そんな・・・知らなかったよ・・」
「言えるはずないよ。
美玲ちゃんはまだ元彼のことが好きだったんだから。」
「・・・・」
両手を包み込まれるようにしてぎゅっと握り締められると、真剣な眼差しで目が合った。
「僕と付き合ってください。お願いします。」
答えに迷いはなかった。
涙が出るほど嬉しかった。
「っ・・はい・・!」
笑顔で目を細めたら、一粒の涙が頬を伝って流れ落ちた。