契約彼氏
第2章 *出逢い...
「お嬢ちゃん、大丈夫?」
「・・・・?」
顔を上げると、人の良さそうな眼鏡をかけたおじさんが私の顔を覗きこむ。
「大丈夫、です・・・」
どのくらいこの姿でいたんだろう。
もしかして私、眠っちゃってたのかな?
いや、まさかね・・・・
「大丈夫?立てる?」
おじさんの手を借りて壁伝いに立ち上がった私はやっとの思いで両足でバランスをとった。
「少し休もっか。」
この時の私は平常心を失ってて、何もかもがどうでもよくなって、何を思ったのか今会ったばかりのおじさんに寄りかかるようにして歩きだした。
「大丈夫。
すぐに楽になるから。」
ふっと顔を上げると、さっき私が歩いてきた見覚えのある道―・・・
体がアレルギー反応を起こしたように全身に鳥肌がたち、足がすくみ動けなくなった。
「ほら、そこに入ろ」
さっき亮ちゃんたちが入ろうとしたラブホテルの前。
あの中で今頃亮ちゃんはあの子と・・・・
想像しただけで気持ち悪くなり、吐き気を催した。
「ちょ・・「やっ、触んないで!」
さっきまで自分の足で立てなかったのが嘘みたいに、今は逃げるようにしておじさんから離れて駆け出した。