契約彼氏
第2章 *出逢い...
「もしもーし」
「ねぇ起きて」
「・・・・・?」
体を揺さぶられ、ゆっくり目を開けると暗闇でもわかる人のシルエット―・・・
またおやじのナンパ?
今度こそ相手して・・・
そう思って立ち上がろうとした時、
「銀行員が何してんのさ。」
相手の言葉に一瞬にして目が覚めた。
やばい、上司!?
まさか同期の男!?
とにかく身を隠すつもりでカバンを顔の前に当てた。
「なに?隠れてるつもり?笑」
相手は怒ることもなければ、軽蔑した様子もない。
むしろ、この状況を楽しんでる。
「・・・・?」
ゆっくりカバンから顔を出し、恐る恐る相手の顔を確認する。
「・・・・あ、」
「どーも」
「あなた、朝の両替の・・・・」
今思えば、彼との出逢いは恥ずかしくも運命的だった。