契約彼氏
第3章 *越えた一線...
「なんか子犬みたい。」
「なんで?
ゴールデンレトリバーみたいな髪色だから?」
天然なのか、キャラなのか、そんなことを真顔で聞いてくる。
年下の男の子に縁のなかったわたしにとって、彼の存在は新鮮で複雑に絡んだ心の線を少しずつほどいてくれる。
「なんか、人懐っこくて可愛い。」
「それ年下だからってバカにしてるでしょ?」
「それはそっちでしょ?年上の私をからかったりしてさ!」
「僕からしたら年上っぽくないけどね。」
「うわ、ひどーい!!」
ほんとなら彼との関係は決して許されない。
お客様とプライベートな関係を持つなんて、銀行員にとっては前代未聞のこと。
「やっと笑ってくれた。」
「え?」
笑いすぎて目に涙を溜めた美玲が美容師を見つめる。
「連絡先、教えて?」
迷いなんてなかった。