契約彼氏
第3章 *越えた一線...
「はい、烏龍茶。」
「あ、ありがと。」
渡されたグラスを受け取ると、ドカッとソファーが沈んだ。
「こういうとこ初めて?」
「うん、初めて来た・・・」
落ち着かない様子で烏龍茶を一口飲んで、壁に囲まれた辺りを見回す。
「練習で終電逃した時とかよく来るんだよね。シャワーもあるからこのまま出勤できるし。」
「そうなんだ・・・」
漫画を何冊かまとめて抱えてきた夏目くんと違って、とりあえず雑誌を1冊持ってきた私。
漫画を読まない私には漫画喫茶なんて無縁だった。
もっと狭くて、子汚いイメージがあったけど、意外と落ち着く雰囲気で女性客も多い。
「夏目くん、明日も仕事?」
「うん。朝練あるから7時半出勤。」
「寝なくて大丈夫なの・・・?」
読み始めた漫画から視線を離さずに呑気に答える陽飛を心配する美玲。
私はオール明けの出勤なんて絶対に有り得ない。
窓口で居眠りの余裕もなければ、それこそ勘定が合わなければ大変なことになる。
「まだ眠くないから平気。
美玲ちゃんは寝ててもいいよ?
ちゃんと起こしてあげるから!」
もはやどっちが年上かわからない。
明日休みの私の方が今睡魔に襲われてる。