契約彼氏
第3章 *越えた一線...
基本的な決まりとしては、お返しする時にはお客様のお名前をお呼びする。
でも、夏目くんの場合、お返しできる段階で目が合い取りに来てくれる。
「もはや僕の時、名前も呼んでくれないんですね。笑」
「え、だって来てくれるから・・・・
じゃあ、次回から呼びますか?笑」
「いいです、このままで(笑)」
カウンター越しの会話でも、たった数分の会話でも、夏目くんの愛らしい笑顔を見られればそれだけで満足だった。
「・・・じゃあ、また。」
「お仕事頑張ってね。」
「うん、ありがと」
ぺこっと頭を下げた彼は、窓口から離れ美容院へと戻っていった。
この瞬間、私の1日の業務は早くも終わった気分だった。