契約彼氏
第3章 *越えた一線...
「ここでいい?」
「・・・うん。」
ちょっと洒落たご飯屋さんに入ると、入り口付近に並ぶケーキに目を奪われた。
『お二人様ですね。
ご案内いたします。』
――・・・・・・・
「美玲?」
「あ、ごめん・・・!」
先を行く亮ちゃんに呼ばれて我に返る。
「・・・大丈夫?」
「うん、平気。」
案内された席は個室みたいに仕切られてて、ゆっくり話すには条件が良かった。
「お腹空いてるっしょ?」
「うん。」
「食いたいもん頼んでいいよ。」
「ほんと?
亮ちゃんのおごり?」
許したつもりはないけど、ちょっとした冗談くらいなら言ってみる。
「そんなんで許してくれるならいくらでもおごるよ。」
「え・・・・?」
まさか許してほしいと?
あの屈辱に目を瞑れと?
「ごめん。ほんと。」
だめ。許しちゃ。
今許せば私も亮ちゃんもダメになる。