契約彼氏
第3章 *越えた一線...
「あーお腹いっぱい。」
「なんだかんだ全部食ったじゃん。」
「お腹空いてたんだもん。
いいじゃん、別に。」
こうやって気を遣わないのも亮ちゃんだから―・・・
喧嘩して気まずい空気になったって、いつも折れてくれるのは亮ちゃんだった。
『お待たせいたしました。』
「・・・・・?」
テーブルの上に突如置かれたケーキに美玲は固まる。
「え、あの・・・・
頼んでないですけど・・・」
「俺が頼んだ。」
「え?いつ?」
「さっき。
いいから食べて。
このケーキで良かった?」
さっき席を立った時?
トイレじゃなかったの?
「亮ちゃん・・・!」
「俺、諦めないから。」
「・・・・・」
「美玲を傷付けたのは本当に悪いと思ってる。だから、今すぐ許してもらおうなんて思ってないし、時間をかけて償いたい。また信頼してもらえるように頑張るから。」
今の私には自分ひとりで判断できなかった。
誰を信じていいのかも、今さら亮ちゃんの言葉を信じていいのかも、わからなかった。
「ちょっと考えさせて・・・・」
こんな時、夏目くんが脳裏に浮かぶのはなぜだろう―・・・・