契約彼氏
第3章 *越えた一線...
「お疲れっ!」
自分の中では精一杯に明るく振る舞う。
私、上手く笑えてるかな―・・・
後ろからの声に驚いたのか、物凄い勢いで振り向いた夏目くんはすぐに明るい笑顔を見せた。
「お疲れ様!
早かったね、終わるの。」
「今日早帰りだからね!」
「早帰り?
いつもじゃなくて?笑」
「違うから!笑」
夏目くんと話し始めたら不思議と緊張がとけていって、自然な笑顔も出てる気がした。
「どこ行こっか?」
「どこでもいいけど・・・
夏目くん、お酒飲めるんだっけ?」
「飲めますとも♪」
「明日仕事?」
「うん。
でも朝練ないから9時に行く!
美玲ちゃんは?」
「仕事だよ、普通に。
8時前にはここにいる。」
銀行のビルを見上げると、つられて夏目くんも上を見た。
「じゃあ明日両替行こっかな♪」
「ほんとに?
私の窓口あたるかなぁ・・・笑」
「もし美玲ちゃんの窓口だったら運命かもね♪」
そんなことをさらっと言う夏目くんの言葉に顔が熱くなる。