
契約彼氏
第3章 *越えた一線...
「ねぇ、ところでさ、
どうしてタクシー乗るの嫌がったの?」
突然真面目な質問に今の心境じゃ答えたくなかった。
「・・・別に。タクシー高いから。」
「それだけじゃないでしょ?」
「・・・・・・・・」
「ごめん。下着見たのは謝るから。
ワンピースのままじゃシワになって明日着て行けないと思ったし、そりゃちょっとは興味で必要以上に見ちゃったけど・・・・」
しゅん・・・と小さくなった夏目くんが可愛くて、怒ってしまったことを逆に申し訳なく感じてしまう。
「もういいよ。ありがとね。」
こう考えると夏目くんって年下だなって実感する。
「タクシーで何かあったの?」
「ずーっと昔ね。
タクシーの運転手さんに乱暴されたことがあって、それ以来一人で乗るのが怖いの。」
「それ、ちゃんと警察に言った?」
「ただ逃げてきちゃったから・・・
結局誰にも言ってない。」
「そうだったんだ・・・。」
夏目くんは優しく頭を撫でてくれて、
「ごめんね、
知らずに乗せようとして。」
ちゃんと目を見て謝ってくれた。
「もう大丈夫。ありがとね。一緒に乗ってくれて。嬉しかった。」
「そりゃね。
あんなに可愛く見つめられたら放っとけないよ。」
「なにそれ。笑」
くすっと笑った美玲の頬に手を当てた陽飛。
そのまま引き寄せるように唇を重ねた。
